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商業出版とは?本が売れずに不幸にならないための基礎知識|メリット、デメリットを徹底解説

2023/04/19

商業出版とは、出版社が利益を出す目的で本を出すことです。
つまり売れる本を出すことがゴールです。

「◯◯さんは知名度、人気、専門性、希少性、話題性で秀でていて、狙ったターゲットの求めるテーマで本が作れる」
出版社にいるエリートの専門家が「◯◯さんなら売れる本が出せる!」と確信したとき、初めてその本人に声をかけます。

「あなたに本を書いてほしい」

もしあなたが今、出版社から「ウチがあらゆるコストを負担して支援しますので、本を書いてもらえませんか?」と言われていたら、この記事を読む必要はありません。

なぜならこの記事は「出版社から声がかかっていないけど、商業出版がしたい人向け」の内容になっているからです。
おそらくこの記事を読んでいる大半の方は、出版社から声はかかっていないものの、

「商業出版できればビジネスが大きく飛躍する」
「本が売れたら一流ビジネスマンの仲間入りできる」
「テレビや雑紙、ネットメディアにも取り上げられて有名になれる」

と商業出版に淡い期待を寄せていて、

「じゃあ、どうやったら商業出版することができるのだろうか?」
「商業出版に漕ぎ着けるために企画書をどのように書いて、どの出版社に持っていき、どのようにプレゼンしたらいいのだろうか?」

そんな疑問への答えを求めているのではないでしょうか?

「出版したいなら企画書を書いて出版社に持ち込めばいいよ」と軽く言う人もいますし、中には本当に実行して商業出版を実現した人もいます。
出版社に在籍する私が書いた別記事「出版企画書|テンプレート無料配布|出版社に企画を持ち込みする前に読みたい記事」を参考にすれば、出版社が検討したくなる企画書は作成できますが、企画会議で採用される確率はそれなりに低いことは覚悟してください。

ちなみに、本を出すだけならもっと簡単な方法があります。
もしあなたが数百万円もの金額を投資する余裕があれば、出版社にお金を払い、まるで商業出版と同じように本が出せます。
お金を払って本を出す方法のことを、企業出版、カスタム出版、ブランディング出版と言います。

なので、

  • 数百万円払っても本を出せば投資した以上の回収が期待できる方
  • ライバルよりも先に早く本を出したい方

は、別記事「企業出版とは?本を出して「大損する会社」と「成功する会社」の決定的な違い」をご覧になることをオススメします。

「いや、お金はかけずに、自費で出版したいわけじゃないけど、なんとか商業出版で本を出したい」

という方は、この続きをご覧ください。

この記事では、

  • 商業出版の基礎知識
  • 商業出版のメリット、デメリット
  • 商業出版の企画持ち込みの方法
  • 商業出版で本を売るための考え方
  • 商業出版プロデューサー(コンサル)

について解説していきます。
それでは始めます。

1.商業出版とは

商業出版とは、出版社が利益を出す目的で本を出すことです。
つまり、たくさん売れる本を出すことがゴールです。

1-1.商業出版と自費出版の違い

商業出版は本を出して売るまでの費用はすべて出版社が負担します。つまり著者が費用を負担することはありません。
一方で自費出版は文字通り、著者が自費で制作し、販売します。
本を制作する費用、販売する費用はすべて著者が受け持ちます。

1-2.商業出版と企業出版の違い

違いは大別すると3つです。次の表をご覧ください。

商業出版は『出版社が利益を出すことを目的』とし、『企業出版は企業が利益を出す』ことを目的としている点が最大の違いです。

2.商業出版のメリット・デメリット

最大のメリットは出版社が積極的に売ってくれることです。

商業出版は本が売れなければ出版社が損をするわけですから、出版社は売るための努力を惜しみません。また、予想以上に売れ行きがよく、出版社が「この本はベストセラーにできるぞ」と見込んだ場合、広告や営業網を駆使して販売促進に尽力してくれます。

その結果、著者の知名度も上がり、出版社も利益が出て、お互いにとってメリットのある状態になります。
デメリットは大きく2つ。

  • 売れなかったときに費やした労力がムダになること
  • 自分が書きたいことではなく、たくさん売るための内容になってしまうこと

商業出版は出版社の利益になることがゴールであり、著者の利益は二の次です。
つまり読者に受け入れられて、多く売れることが何よりも優先されるのです。

3.商業出版の企画書の作り方(基本構成)

商業出版の企画書はそもそも何のために作るのかといえば、出版社の責任者が

「この本なら売れて利益になる」

と確信を深めるためです。

つまり本が売れることの根拠を示すための目的で作ります。
よく勘違いして失敗するのは、テーマや内容だけを作り込んで持っていき、

「これを書きたいんです」

と熱意だけで押し切ろうとするパターンです。
残念ながらそのような場合は99%出版を断られてしまいます。

では、この本なら売れると確信を深めてもらうために必要な情報とはどんなものでしょうか。
その情報を網羅するための企画書の基本構成について解説していきます。

詳しくは別記事『出版企画書|テンプレート無料配布|出版社に企画を持ち込みする前に読みたい記事』もご参考ください。

①本を買うのはどんな人たちなのか(ターゲット)

ターゲットは、下記のようにカテゴリーで括ってください。

  • 世代(例:20代~40代)
  • 性別(例:女性)
  • 地域(例:東北)
  • 職業(例:営業)
  • 悩み(例:痩せたいけど、痩せられない)
  • 願望(例:楽して痩せたい)
  • 欲求(例:モテたい)

などです。括るのは複数のカテゴリーでも構いません。複数のカテゴリで括っていくと、全国の日本人のうち、どのくらいの人数がターゲットボリューム(買ってくれる人の最大数)かを推定できます。
※推定した時点で、ターゲットボリュームが少なすぎる場合は、高確率で商業出版には向いていないと判断されます。

②読んだ人にどんな価値をもたらすのか(ベネフィット)

あなたが書く本を読んだ人たちは

  • 読むと何が得られるのか
  • 読んだ人たちは何が変わるのか

についてシンプルに書いてください。
読むことで得られる価値の大きさや、読んだ人たちの変化によって、『本の価値』は決まります。
少なくとも1000円前後で購入したらお得かどうかは最低ラインです。

③価値をもたらす根拠は?(裏付け)

あなたが本を通じて読者に価値を与えると確信できる根拠はありますか?

  • 著者実績
  • 他者実績
  • 研究結果

のいずれかがあると信頼してもらえる可能性が高くなります。

④著者プロフィール

編集者が知りたいのは「あなたが何者か」です。

  • 何をやっているのか(現在)
  • なぜやっているのか(過去)
  • これからどうするのか(未来)
  • 自力で売れる想定の部数(販売部数の最低ライン)

は書いておくことをオススメします。

⑤書籍のタイトル(仮案)

①~④をもとに、仮案としてタイトルも添えておきましょう。
※タイトルや構成は編集者(プロ)から必ず指摘を受けます。その前提で、あくまで叩き台として作成しておくことをオススメします。

⑥書籍の目次(仮案)

①~④をもとに、仮案の目次を添えておきましょう。
※タイトルや構成は編集者(プロ)から必ず指摘を受けます。その前提で、あくまで叩き台として作成しておくことをオススメします。

4.商業出版で本を売るための考え方

商業出版の基本的なスタンスは、狭いターゲットに高く売るのではなく、広いターゲットに安く売ることです。

薄利多売の人気商売です。

もちろん本を買ってもらうターゲット(例:性別/年代)やカテゴリ(例:ダイエット、美容、料理)は絞りますが、書籍は万単位を売ることで初めて利益になるビジネスです。

つまりターゲットやカテゴリにとっての大衆受けするテーマで、大衆が喜ぶ内容が求められています。
もしあなたの書きたいものが極めてニッチなターゲットで、カテゴリの中でも一部の人にしか好まれないようなものだった場合、出版社はそれを良しとしません。

「それは売れません」

と容赦なく指摘を受けるはずです。
あなたがすでに知名度も人気も話題性もあり、どんな内容でもベストセラーにできるスーパーマンなら

「だったら書くのやめるよ?」

と脅すこともできるでしょう。

しかし、商業出版したいとお願いする立場であれば、出版社の指示に背くことは許されません。
つまり商業出版は、著者に利益のあることや書きたいことを書くのではなく、読者に有益であり出版社の求めることを書くことが求められるのです。

それがどうしても受け入れられず自分の利益になるようにしたいのであれば、お金を払って企業出版をする道を選ぶことをオススメします。

5.商業出版プロデューサー(コンサル)とは

無名で実績にも乏しい作家のタマゴが、商業出版をするためには、「企画力」と「販売力」のいずれかで出版社の専門家を納得させなければなりません。

では、納得させるためにはどのようにすればいいのでしょうか?
残念ながらその答えを知るためには、元ベストセラー本の編集者を名乗るコンサルタントに高額なコストを支払う必要があります。

「売れるかどうかは時代とあなた次第だ」

と保険をかけつつも、コンサルタントなら親切に教えてくれます。
そして数ヶ月、ときには1年以上の時間をかけて、あなたはコンサルの教え通り企画書を作ります。

その後、コンサルのコネクションを頼りに出版社に企画書を持ち込みます。

「じゃあ、これで書いてみましょうか」

無事、出版社からも承認を得て、原稿を書き始めます。

完成まで10万字超。これまでの人生で、そこまでの長文を書いたことのない作家のタマゴは、書いては消し、書いては消しを繰り返し、寝る間を惜しんで書き続けます。
本業もこなしつつ、仕事の合間に目をこすりながら、パソコンに向き合う。

年収2000万円以上を稼ぐ経営者なら時給換算で1万円以上の価値にもなる貴重な時間を執筆に当て、書籍1冊分の10万字を書き終えるまでに1時間ごとに2000字書いたとしても50時間は必要。
経営に多忙で、一挙にまとめて書く時間がない場合は、過去に書いた原稿を読み返しては思い出しながら書くため、さらに倍以上の時間はかかります。

そうして執筆時間200時間以上、時給1万円×200時間=200万円換算の投資をして、やっと初稿を書き終えます。
その後、編集者から赤字だらけの原稿が返ってきては推敲を重ね、ようやく本が完成。
売るために書店を回り、出版記念パーティーをして、知り合いにはレビューを書いてもらうためにお願いして回るのです。

その結果、目標以上に売れたら成功。あなたの人生な変わります。
目標よりも飛躍的に売れたらあなたの人生はバラ色です。全国から講演で呼ばれ、「先生、先生」ともてはやされます。

「本を読んで会いにきました」

と自動的にお客が増えていきます。

その一方、売れなければそれまで使ってきた時間、労力はすべて水の泡。認知も広がらず、ビジネスへの成功にはつながりません。
ただし、出版したという箔はつきますから、出版後数年はブランディング効果はあることでしょう。

どちらに転ぶかは、商業出版のコンサルの方が言う通り、「あなた次第」です。

最後に

最後までご覧いただき、ありがとうございました。
商業出版について充分ご理解いただけたでしょうか?

「商業出版についてはわかったけれど、自分が本を出したらビジネスがうまくいくのかなあ?」

と思われた方は、あなたが本を出すことで投資対効果があるかどうかを専門家に相談してみませんか?

ビジネス目的で出版をされたい方にとっては、書籍はただのツールに過ぎません。
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■参考記事:出版企画書|テンプレート無料配布|出版社に企画を持ち込みする前に読みたい記事