「出版の企画書を作りたいけど、何を書けばいいかわからない」
という方はこの記事をご覧ください。
本が売れるかどうかは、企画書の時点でほぼ勝負が決まっています。
勝敗を決める要素の9割は、
- 著者
- 企画書
の2つだからです。
「え…原稿とか内容で勝負が決まるんじゃないの?」
と思われる方も多いでしょう。
もちろん本の内容も大事です。実際に本を読んだ方がネットで簡単に
「この本は役に立った」「役に立たなかった」「感動した」「つまらなかった」
とレビューができる時代です。
本の内容への感想がすぐにシェアされてしまい、そのシェアされた情報が本の売れ行きを左右するからこそ、内容も重要なのは当然です。
しかし、内容よりもさらに重要なのは、本の内容を知らない人が『買ってみよう』と思い、実際に購入することです。
そもそも本を購入する人がいなければ、レビューを書く人も現れません。本が売れなければ、ブログやSNSでシェアする人もいません。
つまり、内容である原稿よりも前に、
- 本を購入する可能性がある人たちはどれくらい存在するのか?
- なぜこの本が選ばれるのか?
の2つが最も大事なのです。
そして、その2つへのアンサーこそが「出版企画書」であり、企画書の内容をもとに
「この本を作ろう」「この本は却下だ」
と出版社は判断します。
そこで今回の記事では、出版社が実際に使っている『出版企画書』のテンプレートについて解説していきます。また、特別にテンプレートも無料配布します。
「出版社から本を出したい」
とお考えの方にオススメの内容となっておりますので、ぜひご参考ください。
1.出版企画書はどのような目的で作るのか?
冒頭でも軽く触れましたが、改めて『出版企画書』の目的を説明します。
出版における企画書は、
「本を出したい著者が『自分の書きたい本の概要』を出版社に説明するための資料」
と勘違いしている人が多いです。
あえて厳しいことを言いますが、そのような独りよがりな考えを持っている著者の方だと、企画書は万が一にも採用されることはないでしょう。
では、企画書の本来の目的とはいったい何でしょうか?
出版における企画書とは、正しくは
「出版社がこの本を自社から出版すれば売れるかどうかを判断するための資料」
です。
出版社の事業は慈善事業ではありません。完全に営利目的です。売れないとわかっている本を出せるほど余裕のある会社はひとつもありません。
出版不況と呼ばれる昨今において、どの出版社も生き残りを賭けて、できれば売れる可能性の高い本だけを作りたいと真剣に考えています。
だからこそ、出版企画書には、
- この本は誰のために、どんな役に立つのか?
- なぜ役に立つのか?なぜ選ばれるのか?その根拠は?
- 著者の影響力は?自力で必ず売れる数は?
と著者の出す本が売れる(=出版社の利益になる)であろう可能性が高い根拠を書いていくのです。
2.出版企画書のテンプレート無料配布中
では、具体的にどんな内容を書いていけばいいのでしょうか?
まずは出版企画書のテンプレートを無料配布しております。
こちらからダウンロードした上で、次の章でそれぞれの項目の解説をご覧いただくと、わかりやすいです。
3.出版企画書の項目リスト
今回のテンプレートでは、基本項目のみを抑えています。
まずはこの基本項目に沿って埋めていくことを推奨しますが、著者の方が、
「どうしてもこれだけは伝えたい」
という項目があれば、追記しても構いません。
3-1.出版背景/目的
まず最初に知りたいのは、あなたが本を出すべき理由であり、それを世に届けなければならない理由です。
もっと具体的な質問に換えると、
「いま世に出ている本では何が足りないのか?何が間違ってるのか?」
です。
あくまでも例ですが、この世に存在するあらゆるダイエットよりも効率的に楽に健康的に痩せられる方法をあなたが見つけたとしたら、
「私ならこの世のあらゆる本よりも最高の情報を届けられる!それが理由だ」
となりますし、あるいは既存のダイエット本では『実践できる人が少ない』のであれば、
「私ならこの世のあらゆる本よりも実践しやすい情報を届けられる!それが理由だ」
となります。
まずこの章では、
- あなたが本を出すべき理由とは?
- それを世に届けなければならない理由とは?
を書いていきましょう。
3-2.読者ターゲット
本は「読者ターゲットの広さ」によって『売上の最大数』が推定できます。
たとえば、釣りに関する本は、全国の釣りをしている人口以上の売上にはなりません。
はたまた、料理に関する本は、全国の料理をしている人口以上の売上にもなりません。
では、ここで問題ですが、「釣りの本」と「料理の本」だと、どちらのほうが「読者ターゲットの広さ(売上の最大数)」が大きいと思われますか?
なんとなく予想出来るかと思いますが、料理の本ですよね。
料理の本であれば、全国で自炊する家庭、一人暮らしの方々など、多くの読者ターゲットが本を買う可能性があります。
よって、読者ターゲットが広ければ広いほど、多くの部数が売れる上限が高いことがわかります。
が、単純に広ければいいというわけではありません。あえて読者ターゲットを絞ることで、読者ターゲットが喜ぶ『深い内容にできる』というメリットもあるからです。
しかしながら、あまりに読者ターゲットが狭すぎると、商業出版(利益目的で出版社が本を出す)では企画書が通過すぎることがほぼありえません。
したがって、読者ターゲットをあらかじめ設定し、『売上の最大数』がパッと理解できるようにしておきましょう。
3-3.読者が得られるもの
あなたの書く本を通じて、読者はどんなメリットを何を得られるのでしょうか?
もっと厳しく質問すると、
『読者にとって「1,000円前後の購入費」と「数時間かけて読書をするという時間」以上の価値があなたの本にはありますか?』
ということです。
特に現代では、無料でも有益な情報もたくさんあり、無料で楽しめる娯楽も数多く存在します。
そんな中にあって、あなたの本が読者にもたらす価値とはいったい何がありますか?
3-4.裏付け(実績/研究)
※この項目は「ハウツー本」でのみ必要な項目です
どんな価値をもたらされるのかわかったところで、次に読者が気になるのは、
- 価値の『裏付け(事例はあるのか?)』はなのか?
- それは『再現可能(研究結果はあるのか?)』なものか?
という2点です。
たとえば、「このダイエット方法はめちゃ痩せられます」と価値を声高に叫んでも、実際に痩せた事例も少なく、何の研究結果もなければ、あなたはそれを信じれますか?
本は一度出版してしまうと世に残ってしまうので、「裏付けの乏しいもの」は好まれません。また、デマ情報の場合、出版した会社のブランドイメージすら毀損してしまうため、敬遠されてしまいます。
よって、あなたが伝えられる情報に「裏付け」「再現性」があるのかは示しておきたいところです。
3-5.著者プロフィール
プロフィールはオーソドックスな書き方としては、経歴と実績をシンプルに書く方法です。
こちらは例をお見せするほうがわかりやすいので、まずはこの記事を書いている会社の代表(著書も複数あります)のプロフィールを掲載します。
1965年岩手県盛岡市生まれ。1989年立教大学卒業後、外資系生保に10年間勤務しダイレクトマーケティングを経験。個人創業を経て、2001年保険会社や保険代理店向けにマーケティング支援を行うマネーコンフォート株式会社を創業。2011年出版社のオファーから保険プランナーのストーリーを書籍化したのを機に保険業界以外の経営者や働く人々のストーリーづくりに注力。2016年保険関連事業を売却、人の想いを第三者が引き出す「取材」をコアバリューとするリスナーズ株式会社を単身再創業。プロデュースした書籍は『10年後に後悔しない働き方 ベンチャー企業という選択(2014年幻冬舎刊)』ほか30冊以上、取材した経営者は世界9ヵ国1,000人を超え、ベンチャー界隈では“壁打ちの神様“の異名を持つ。
3-6.仮のタイトル
本のタイトルはあくまで仮題で構いません。
実際に本の編集会議や制作過程でタイトルは決まっていきます。
ただ、企画書の時点でも無題ではイメージが湧かないので、まずは叩き台となるタイトルは必要となります。
3-7.仮の目次
目次もタイトルと同じで仮で構いません。
なお、目次はコンテンツの概要を示すもので、目次がつまらなければ内容がイマイチになるかもしれないとマイナスイメージを持たれます。
まずは読者の興味を惹くための目次を書いていきましょう。
3-8.原稿(叩き台)
あなたの文章力、構成力は、10ページ程度の原稿でも編集者なら十分にわかります。
まずは自分の実力がどの程度のものか、編集者に理解してもらえるよう、全力で10ページ〜20ページほど書いてみましょう。
3-9.類書(同じジャンル/似た趣旨の本)
あなたの書く本に似たジャンル、コンセプトが似ている本があれば、イメージが伝わりやすくなるので、参考の書籍として記載しておきましょう。
4.出版企画書のダウンロードリンク
以上が出版企画書の解説になります。
出版企画書のテンプレートは、「出版企画書テンプレート」から無料でダウンロードできます。
本を出したい方はご活用いただけると幸いです。